驚蟄(啓蟄)(201635日~2016319日)

 

驚蟄*(啓蟄)は、一年二十四節気の中の第三番目の節気です。また春季の三番目の節気にもあたります。太陽黄経が345°になったときを驚蟄といい、毎年3月5日前後から3月20日前後までです。

驚蟄の驚は、目を覚ます、怯えるという意味で、蟄は、蟄伏、隠れ潜むという意味です。正に昔の人が、「二月節、万物は震にて出ず。震は雷なり。故に驚蟄という。蟄虫(地中にこもって越冬する虫)が驚いて出走するなり。」と言ったとおりなのです。

驚蟄の節気の頃は、地面の陽気が上昇して天空の比較的冷たい陰気と交わります。冷たい気と熱い気が急に交わると、雷が発生して雷鳴が起こります。この春雷の響きによって、一冬まるまる地中に潜んで冬眠していた様々な動植物が目を覚まします。そこで、「春雷響いて、万物長ず」という言葉があり、驚蟄という名はそれに由来します。

驚蟄の導引術は、指を握固(親指を薬指の付け根に当て、他の四指を曲げて握る)にし、胸を拡げ肩を開き、含胸抜背(胸を内に入れて、肩甲骨を開いて背中をアーチにする)をし、緊張と弛緩を交互に行い、吐納によって気を巡らし、息を停める閉気を行うなどの一連の方法を行います。それによって体内の真気の発生を促進し、体内の先天の真気と自然界の後天の清気を胸中で充分に混ぜ合わせ、融合させることができるのです。

驚蟄の導引術は、道家の古い導引術では、「取坎填離、降龍伏虎」*などといい、気血を調和させ、肝肺を共に練ずる典型的な導引術です。精妙な「煉気」の方法を含んでおり、チベット密教の「金剛拳」、「宝瓶気」やヨガの「プラナヤマ」などの修練方法と、方法の違いはありますが、多くの同じような結果が得られるのです。

古代の内丹術でいう、練功が一定の境地に達すると耳の後ろに風が生じ、百節が一斉に鳴るということや「陰陽に反復生じ、あまねく一声雷と化す」などは、人体の中で起こる多くの「雷」の現象ですが、これは別途論じることにします。

また、人体において、咳、くしゃみなどは、体内の冷たい空気と熱い空気が争っていることによる反応であり、身体の中の雷鳴とみなします。体内の気血の滞りに振動を与え、流れをよくしているのです。よって、中医学の咳の治療は、発熱に対する治療と同じで、咳があるからすぐに停める、熱があるからすぐに下げることはしません。症状が酷くなければ、この様な反応は人体の自己防御システムが発動して疾病に抵抗している正常な反応だと考えます。

張明亮著『二十四節気導引養生法――中国の時間と智慧』(人民衛生出版社)より

参考)

*驚蟄 : 啓蟄を中国では驚蟄と書く。これは漢王朝6第代皇帝の 諱(いみな)「啓」を避けたことによる。

*取坎填離:「易」に基づいた考え方。水を表す坎卦と火を表す離卦との関係で、火と水、心腎の調整を表す。

*降龍伏虎:五行思想に基づく考え方。龍は五行では木、五臓では肝に属し、虎は五行では金、五臓では肺に属する。ここでは、親指(肺に属す)を薬指(肝に属す)の付け根に当てて握る握固によって、肝と肺の気を共に整えて鍛錬すること。

このような考え方から、驚蟄には「握固煉気式」という導引術を勧めています。

以下のサイトをご覧ください。

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